―ではでは、信天翁はどんなバンドなのか?ってところを聞いていこうかと思います。
ミチヤ(以下/ミ):信天翁は…すごい、つかみ所のない……
―始まりとしてはソロだったんですか?
ミ:うん、東京出てきて最初はソロでやってた。
1年ぐらいかな?渋谷のAPIAとかでやってて。
で、タマキっていうパーカッションやってるやつと知り合って、一緒になんかやろうっていうのが始まりかな?
で、バンド名も決まってない最初のライブを最鋭輝さん(現在、ミチヤ氏の師匠)に見に来てもらってて。
ライブで「名前募集しまーす!」って言ったら、最鋭輝さんがアンケートで“あほうどり”と…
―アンケートで命名されたんですか?(笑)
ミ:うん、その時はひらがなで書いてあったんだけど、家に帰って調べてみたら“信天翁”って漢字で。これいいな、と。
編成としてはパーカッションがいて、俺が確か、アコギを弾いてたのかな。
一瞬ベースが入ったりしたけど、2人が長かったかな。
コウダイ(2005年6月までDrとして参加)とは東京に出てきて、お互い同じようなコトをしてたから付き合いもあったりして。
たまに信天翁でも一緒にやったりして、ギターコーラスとかジャンベを叩いてもらったりとか。
―手を変え、品を変え。
ミ:そうそう。俺もジャンベを叩いたりして。…「俺はフリー(自由)なんだ!」って(笑)
―いいですね、そのフレーズ(笑)
ミ:で、タマキが本職のスチールパンに本腰を入れるってコトでいなくなって。
俺とコウダイ2人になって、どっちも歌うたっても“ゆず”みたいになっちゃうし(笑)
フォークデュオではないなと。
リズム入れて、うたをやりたいなっていうのがあって。
それで、コウダイをドラムに転向させて。今の信天翁にいたってるのかな。
で、DOORS(2005/5/2疑心暗鬼主催イベント)に向けてベースにカズを入れて。
あ、カズと2人でやった時もあるんだ。リズムトラック使って。…「フリー(自由)だ!」(笑)
―(笑)これ見出しにできますね。「俺たちはフリー(自由)だ!」って。形にとらわれず。
ミ:機械も使えるぞ、と。
―本当になんでもありというか、編成にはそんなにこだわってないのかな、と。
ミ:うん、必要最低限の…ってのがあるのかな。シンプルというか。
やっぱり“うた”だと思うし。声があればいいっていう。
それに必要最低限の味付けというか。
音が多いのがあんまりカッコイイと思えなくて。直にうたが伝わっていくのが大事だなって。
でもやっぱりギターがないと、アカペラじゃ歌えないし。音痴だから(笑)
リズムがあったほうが楽しいし。それだけじゃないかな。
―本当にうたを生かすための楽器だなって感じますよ。
ミ:うん。うただけがあればいいんだけどね。キーがいるし、リズムがいるしね。
やってることはすごく単純なことだから。
―見てるほうにも、うたが伝わってきますからね。シンプルなぶん、ごまかしはきかないわけですし。
ミ:そのぶん、怖いけどね。
人数(音数)が少ないから。間違えてもすぐわかっちゃうしね(苦笑)
使ってる音自体もシンプルだし。
でも、それがいいって言ってくれる人もいるからね。
―うん、僕としては信天翁の核はミチヤさんの声にあると思うんですよ。
ミ:お!
―ミチヤさんの声はいくら経験をつんでも練習しても得られないもんがあるな、と。
なんか出てるんですよね、マイナスイオン的なものが。
ミ:あはは(笑)
―だからこそシンプルでいいのかなと。
ミ:でも嬉しいよね、そういうものを持って生まれられたのなら。
―歌詞も独特だと思うんですよね。
身の周りの誰にでもおこり得ることを、どこにでもあるような言葉で歌ってるんだけど、視点というか、切り口が違うというか。
ミ:歪んでるのかな?なんつったらいいんだろう?…言葉に出来ないや。
たとえば子供の視点というか。きっと誰もが持ってたものだと思うんだ。
説明すると難しいけど。何の変哲もないものにすごい感動したり、なんでもないことがうたになってるのかな。
何にも考えてないし、作る時。自分の中にあるものしか出てこないから。
その時見てるものだったり、感じてるものをなるべくそのまま出して。
自分の中に浮かんでる情景を伝える為に最もふさわしい言葉を、ね。それで、なにかを感じてくれれば嬉しいしね。
―“青”なんてまさにだと思うんですよね。“なんでもないことに幸せを”って歌詞。
ミ:シンプルだよね。誰が書いたんだろね?(笑)
でも本当に思うの。うたを書く時って、なんだろう…自分の世界に入って、頭ではあんまり考えてなくて。
目から直接脳にいってるみたいな。
妄想状態になってて、そこで出てきたものをそのまま出してるから、後で読み返したりすると「おぉ!すげぇ〜」って(笑)
そこで出てきたものをうたにするとすごいいい曲ができたりする。
作ろう作ろうとしてひねり出しても、みんな言うけどいいものできないし。
―信天翁のうたは無理矢理作るような感じじゃないですからね。
ミ:うん、自然に出てきたものがいい感じ。自然に感じてるから、かなぁ…?
その時の生活環境もすごい出るし。いろんなタイプの曲があるってのはそこかもしれない。
心の状態も自然とイロイロ変わってくるわけで。視点も変わるし。
だから、これからどんな風に変わっていくか自分でもわからないしね。無理して決めても仕方ないし。
それが、うたじゃないんでしょうか(あらたまった言い方)
うたなんじゃないんでしょうか。
―キめた!(笑)ミチヤさんはルーツとしてはどんな音楽を聴いてきたんですか?
ミ:日本のフォークソング。二十歳くらいのときからかな。
なんだろうね…その言葉っていうか、詞が好きだったんだろうね。
情景が見えるようなうただったり、一言でノックアウトされるようなうたが好きだったの。
―シンプルなのに濃い感じの。
ミ:うん、そういう影響は受けてる。
そういう人がたまたま日本のフォーク界にたくさんいたのかもしれない。やっぱり詞から入ってるんだと思う。
いまだに「音楽やってる」って言うのがくすぐったい。
―なんでですか?
ミ:音楽っていうより、「うたをうたってます」みたいな。
―あぁ(納得)
ミ:音楽性に溢れてはいないから、ぶっちゃけ(笑)
いや、まぁ音楽性も高いんだけどぉ(笑)それ以上にね。
―うん、でもそれはすごい言い得てると思いますよ。
ミ:いい詞にいいメロが合わさった時のなんとも言えないキュンとした感じが、いいね。
―さりげなくキャッチーですよね。
ミ:キャッチーですよ!
―“夢の国”を始めて聴いた時に3日ぐらいサビがグルグル回ってて(笑)
頭から離れない!!って。
ミ:キャッチーなのはコンセプト?というか絶対だと思う。でも、ありふれないというか。
あまり参考にしているものがないんで。
オリジナルだと思うし。
ルーツになってるものはしっかりあるんだけど、そこからは自分の個性というか、自分だけで広げてるからかなぁ。
もちろんいろんな音楽を聴くんだけど、自分が左右されることはないって言うか。
なんて言うんだろうこういうの…。
そういう意味では音楽をあんまり聴かないのかもしれない。
だから自分が音楽やってるって言うのがくすぐったいのかも。
―うたうたいなんでしょうね。
ミ:そう思ってます。
やる以上には自分のオリジナルをやるべきでしょ?個性があってのものだし。
誰でも出来ることをやってもしょうがないし。
なにもないところからうたを作るほうが、俺には興味があるから。
それが誰かに届けば嬉しい。
俺の曲で世界を変えてやる!なんてことではなくてね、ちょっと切なくなったり、ちょっと楽しくなったりしてくれれば充分。
政治とか戦争のコトなんか歌えないし。
でも聴いて、ちょっとでも嬉しくなってくれたらいいな。
例えば自分の恋人のこととか思い出して「彼のことがもっと好きになったわ」とか。
カップルでライブに来て、帰りに手をつないで帰っていったら「おぉ!」ってなるだろうし。そこかな。
子供がくちずさめるようなうたの方が俺には現実的だし。
俺がやるのはそういうところかなって、思う。
―本当の部分というか、そういう歌をうたっているから、すごいリアルなんでしょうね。
世の中には切ないコードで切ないメロディで切ない歌詞でも響かない曲とかありますしね。
ミ:それは嘘を歌ってるんだと思う。その人が。
やっぱりね、本当に思ってることを歌わないとね。
―だから、僕は“サクラ”で泣くんですよ(笑)
ミ:(笑)作り事はダメですよ。表現できないし、伝わらない。
わからないことは歌えないし。だから嘘はない。
それを聴いて「あぁ、綺麗な景色」って思うか「切ない景色だ」って思うかはその人次第だし。
みんな似たような景色は見てると思うから。
―それは核かなと思ってて。誰しもにありうることを歌ってるっていうのが。
ミ:うん、夕焼けみたら誰でも綺麗って思うと思うし。桜見たら綺麗と思うと思うし。
思わない人は俺のうたを聴きに来ないと思うしね。
―内に秘めてるものが激しいですよね。ライブ中もけっこうワーってなったりしてますし。
ミ:うん、最近は特にかなぁ。自分の中のパワーはうたに込めるね。
素直に出して、それが激しかったりするのかな。
―うちのイベントでも1番はじけてましたからね。ほんわかすると思いきや。
ミ:(笑)ほんわかって言われてたんだけどね。自分の中ではずっと熱くて。
それが表に出てきてるのかな。
―まだ出会って半年ぐらいですけど、変化に驚かされてて。この先、どうなっていくんだろう?って、楽しみで。
ミ:いちばん変化のあった時期だったかもしれない。編成だったり。
周りにもいい人がいっぱいいたし。
最鋭輝師匠だったり。すごい勉強になるし、自分の中に新しい風が入ってきたね。
いい出会いをしたと思います。
これから信天翁がどう変わっていくか、自分でも楽しみ。
―その最鋭輝さんも出演していただくイベントがあるということで。
ミ:お、うまい繋げ方。
―いやいや、全然っす。まぁ、イベントをやるわけですよ、宣伝っぽいですけど(笑)
ミ:(笑)疑心暗鬼とね、共同企画って感じで。
信天翁にとって初のアルバムをリリースするにあたって、下北沢の440で8月25日にやるわけですけど、
メンツがすごいじゃないですか?
―濃いぃーですね。あらためて見るとすごい濃いですね(笑)
ミ:最鋭輝師匠率いるメルシーマジックオーケストラ、京都からザッハトルテ、
ザッハトルテは最鋭輝さんとも一緒にやったこともあったり。
で、横尾さんの繋がりで、愛と誠。濃いなぁ、こんなイベントないよなぁ。
―大人なイベントになりそうですね、ワインとテーブルクロス用意しなきゃ。
ミ:うちだけワイン飲めない感じじゃない?愛と誠は飲めそう?
―飲めますね。アダルティーな感じですから。
ミ:じゃあ、俺らもタキシードとか着ようかな。7:3で(笑)
なにげにイベントもけっこう日が迫ってるんですよ。
―ですね。それに併せてアルバムもリリースするということで。今までのデモ音源の楽曲が中心になってるんですよね?
ミ:そうそう。録り直して。っていうか信天翁のすべてですよ。
ライブでやってる曲では漏れる曲のほうがはるかに少ないし。
フルアルバムなんで、けっこう出し尽くしちゃう感じですけど。
毎月1曲つくってきたものをまとめて形にできるかなって。(信天翁は毎月1曲、新曲をデモ音源として配布しているのです)
―毎月1曲レコーディングして出すって大変ですよね?
ミ:大変(笑)
でもこれは宿題みたいな。自分たちのためでもあるし。
日々変化していく信天翁を記録していくというか。しんどくても、やっていかないといかんかなと。
ただ、1枚目のアルバムは濃いね。どこを切っても信天翁。
あたりまえなんだけど。全シングルみたいな。
―すごいですよ、両A面どころの騒ぎじゃないっすよ。10曲全A面。
ミ:A面の金太郎飴みたいな(笑)まさにそんな感じ。
―これからレコーディングで、今までの曲を録り直して。
ミ:完璧に(苦笑/頭を抱える)
―頭を痛めてる。時間もけっこうタイトですしね。
ミ:うん、大変だけどすごい楽しみでもある。
追い詰められたら俺は何が出てくるんだろう?って。それを見るのがすごい楽しみ。
…2ヵ月後、5キロ痩せた俺を…見てもらえるかな(笑)
―ペラペラになっちゃいますよ。横から見たら気付かないくらいに。
ミ:矢吹ジョーみたいな。カサカサになってる(笑)
そのぶんアルバムにエキスを注ぎ込んで。でも、おもしろい。作ってると。
常にアルバム作ってたらおもしろいのかな?
そのうち消えてなくなりそうだな(笑)
―痩せていって?
ミ:そう(笑)生き仏?になれそう。
でもみんなそうやって作ってるんだろうから。
そうやって形にしていくっていうことがすごい重要なことなんだろうな。
信天翁はライブがメインだと思ってるんだけど、記録として何年後かに振り返った時にすごいおもしろいと思えたらいいな。
ライブ感を盛り込めたらいいかな。
―家で聴いてても体が動いちゃうような?
ミ:そうそう。自分が好きなライブをする人でも、アルバムを聴くとやけに綺麗にまとまっちゃってたり、
やっぱりライブのほうがいいなって思うこともあって。
だから自分が作るとなったら、アルバムはアルバムでいいなって思えるものをね。
忌野清志郎さんなんかは「僕のうちに遊びに来たつもりで」みたいなことをライブで言ってて。
逆に信天翁のアルバムは「君のうちに来ちゃった」みたいな感じかな(笑)
楽しみだな。自分がやるんだけど、自分が楽しみ。
―まだ、これからですがアルバムの聴き所は?
ミ:流れかな?全体通しての。
全A面だから、曲がいいのは当たり前として、通して聴いた時の流れ。
全体としてまたひとつのものが見えたら。
アルバムの中に1〜2曲良い曲があって、それ以外飛ばして聴くんじゃなくて、最初っから最後まで聴いてしまうような。
良いアルバムになると思いますよ。
なんか話してると、自分が考えてることがあらためてわかるね。色々考えてるんだな(笑)
―これを聴いて、ライブにも来てもらえれば。
ミ:うん、ライブは良いものをやってれば気付いてもらえると思うし。
毎回成長がわかると思うし、毎回、次回を見て欲しいって思う。
―それは毎回、前に進んでるからじゃないですか?
ミ:うん、その認識は自分でもあるし。
イベントも、アルバムも楽しみ。このイベントを成功させてね、お互いこれからも成長しましょう。
―よろしくお願いします。
ミ:アルバムが良くも悪くも信天翁になると思うので、お楽しみに!
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