「良い曲が1曲できれば全部が肯定されるっていうかさ、自分の人生が。
あーあれがなかったらこの曲ができなかったんだって。
だから良い曲書くことに命をかけるんだよね。
それがないと生きてるってことが楽しめないよね、あたしは。」

なんでこんなにエネルギーが溢れているのだろう?
なんでこんなに純度の高い曲が書けるのだろう?
なんでこんなに外向きの表現なのだろう?
なんでこんなに胸がきゅんきゅんするのだろう?
なんでこんなに心が掴まれるのだろう?
ステージでは語れないたくさんの話。
だけど話を聞いて思ったのは、全部がステージに詰まってるなって。
ミニアルバム「DAY GIRL」の話はもちろん、
アーティスト”つるうちはな”の本質が詰まったロングインタビュー。

 

gisinankiヨコオ(以下/g):ではつるうちはなスペシャルインタビューです!

つるうちはな(以下/つ):まあ素敵!(笑)
あたしインタビューとかすごい好きなんだよね。 自分のこと聞かれるとテンション上がる!
“もっとあたしのこと聞いて〜”って。

g:だから音楽やってるっていうのもありますもんね、しかもこういうつるうちさんみたいな音楽を。

つ:そうそうそうそう。そうじゃなきゃやらないからね。ぜんぶ外向き、開けっぴろげだからねぇ。

g:それは初めてライブを見た時から感じましたね、ぜんぶ外向きだ!っていうのは。
アーティストによって内向きの矢印と外向きの矢印の比率みたいなのがあるじゃないですか。 それがぜんぶ外向きだなって。


つ:そう!!!それがすごく大事な自分の要素だと思ってる。

g:そういうスタンスって最初からあったんですか?歌とか音楽を意識し始めた時からとか。

つ:うーん、音楽遍歴で言うとすごい逸話があって。ホームページにも載ってるんだけど。
あたし、最初にピアノを弾いたのが3歳の時なんだけど。
お母さんがメリーさんの羊を弾いてくれたの。これはメリーさんの羊って曲だよって。

で、それ見て、1回もピアノ触ったり弾いたりしたことないのに、
これは悲しいメリーさんの羊だよって言ってマイナーコードでメリーさんの羊を弾いたんだって!すごくない?
これ最近おかあさんから聞いたんだけど。

g:それすごいですね…神童現る、ですね。

つ:そうそう、よくある子供の時天才だった説ね(笑)
みんなそういうのあるだろうけど。子供はみんな天才だから。
で、親がうわーってなって。これはピアノやらせなきゃ!って。
YAMAHAかな?教室に入って。クラシックのコンクールとかいっぱい出て。

その道でいくのかなってくらい真剣にやってたんだよね、小学校のあいだは。
でも小学校5年の頃に、矢野顕子、スチャダラパー、小沢健二、サイズ…これお父さんの趣味なんだけど、
お父さんが聴いてるのを横で聴いててそれがいい!って思ったの。クラシックよりも。

で、そういうのを弾き語りでカバーするようになって。物足りなくなって小5、6の時には自分で作詞作曲とかしてて。
で、中学校の時にはクラシックはぱったりとやめて、それでジュディマリ(JUDY ANDMARY)とかのコピーバンドとかやって。
高校入って、自分の曲がやりたい!ってバンド組んで、けっこうライブもやってたんだよね。
シェルターとかのライブハウスで。

g:スーパールーキーですね、高校1年でシェルターって。

つ:そう、スーパールーキーだったの(笑)
でもあたし何度かバンドをやろうとしていたんだけど、どんなに頑張ってもサポートバンドに見えちゃうって言われてたの。
今でこそ…今の(サポート)メンバーはもろバンドマンだから。
あの人たちは。だからいいんだけど。

g:すごいですよね、あのメンバー。
つるうちさんがすごい濃いから、バランスがとれているけれど。
すごい濃いですよ、後ろも。バンドとして。


つ:ヤバイよね?だってあたしほんとに戦ってるもん。

g:だって後ろの3人だけでバンドとして成り立ってるんですもん。
でもちゃんとつるうちさんのサポートになってるんですよね。それがすごいなって。


つ:!そうなの!!嬉しい!

g:それはライブですごく感じましたし。
あれだけ濃いエネルギーのサポートがいて、つるうちさんの濃いパワーが重なって、
すごいカタマリになってどーん!って来てるんですけど。
それでもいちばん前に出てるのがつるうちさん自身の生身の部分で。それがすごいなって。
全体のエネルギー以上に核の部分があるんだろうなって。


つ:うんうん。あーいいとこ見てるな〜…(しみじみ)
そのメンバーに出会うまで紆余曲折があって。
バンドやってる時に、君はソロでやったほうがいいよとか、弾き語りやれば?ってすごい言われて。
それで弾き語りでやってみたり、ピアノとドラムのユニットみたいなのにしてみたりとか、
サポート入れてみたりとか、またバンドをやってみたりとか。
それを経て今のメンバーに辿り着いたっていう。

g:なるほど、だからこそ今があんなにガッチリしてるのかもしれないですね。弾き語りもけっこうやってますよね?

つ:うん、弾き語りをやめちゃうとダメなんだよね、あたし。
弾き語りは物理的に、ひとりで世界をステージの上に成り立たせなきゃいけないわけでしょ?
だからすごい責任感もあるし、すごい楽しいの。
ここは完全にあたしひとりの世界だっていうのが。

ピアノ1本で成立させようって発想のもとにできてるから、あたしの曲って。
ピアノでバンドがやりたくって。ひとりでもバンドがやりたかったの。
そこからきてるから、フルバンドばっかりでやってるとピアノ自体が衰えてしまうと思う。
弾き語りの方が好きっていう人もいるしね。

g:それはバランスだと思うんですよね。どっちもやっていくっていう。
もちろん弾き語りだと歌がストレートに届くんですけど、それはバンドになっても変わらないのかなって。つるうちさんの場合。


つ:それはサポートメンバーのおかげですよ。ほんと助けられてると思う。

g:これメンバー読んだら喜びますね。

つ:いや、あいつらぜったい喜ばない!当たり前じゃん、俺らがやってるんだからって言うよ(笑)
ものすごい自信満々だからね。

g:でもすごい素晴らしいかたちだなって、いつも見てて。
そこで生まれたNewアルバム「DAYGIRL」ですが、前のアルバムに比べてすごいバンドっぽいなって印象を受けたんですよね。
曲の完成度も高いし。曲は前からあった曲なんですかね?


つ:それがこれね、この半年くらいでできた曲ばっかりなんだよね、たぶん。

g:曲を作るときってどういうふうに作ってるんですか?
バンドでやるのを想定して…とかいろいろあるとは思うんですけど。

つ:うーん、タイムリーなんだけど昨日さ、
1曲できて、電話がかかってきて、また別の人から電話がきて、その後にまたもう1曲できて。
それが2時間のあいだにおこなわれたんだけど。なんかそんな感じなんだよね。
なーんにも考えてないかもしんない(笑)

g:自然にあふれ出てるんですね。


つ:そうかも。曲はほんとによくできる。毎日曲書いてて。人前に出さないものがほとんどなんだけど。
日記を書くみたいな感じなのかなぁ…。
自分が誇りに思ってること、生きてて。
自分がただ毎日生きてるだけで、曲を作るってことをずーっと考えてる。
無意識でも。そのことばっかり。

今のこの状況、感情を…心が感じる瞬間って1日に何回もあるじゃん?
特にあたしたちみたいな躁鬱人間ってのは(笑)
まあ、ヨコオ君もその中に入れるけどね(笑)
1日の中であっちにいったり、こっちにいったりしてる気持ちの中で、あ、ここは曲になる、
こっちも曲になるっていうのを繰り返してるんだよね、たぶん。それでバランスとってるんだろうなって思う。

すごく極端な例を言うと、すごく好きな人がいてさ、
その人と一緒にいるよりも、その人のこと考えていい曲が出来た時の方がぜんぜん幸せなの。
っていうことは音楽が好きなんだよね、いつでも。

g:ぜんぶの表現手段が歌とか音楽なんでしょうね、たぶん。

つ:なってるね…たぶん。
1年間声が出ない時期があって、18くらいの時かな。精神的なことで声が出なくなっちゃってさ。
もちろん歌えない、喋れないってのが1年続いて。
すごい絶望的な日々だったんだけど、毎日が。でも曲は出来るんだよね。
歌えないんだけど、こういう歌が歌いたい!って曲だけは出てきて。

g:すごいですね…それってもう音楽やるとかやらないとかいう次元じゃないですね。


つ:そうそう!そうなの!ほんとにそうだと思う。
やるとかやらないとか考えないよね。生きるか死ぬかしか考えてないよね。

g:だから根本的な熱量が違うのかなと思いますね。

つ:あー!すごい嬉しいぃ〜。

g:音楽やっている人にとって、食えるかどうかってすごくシビアな問題じゃないですか。
それで諦めたり音楽を辞めたりって日常茶飯事で周りにあって。
でもつるうちさんはどんな状況でも歌ってるのかな、歌うのを辞めないのかなって思ってるんですよね。


つ:ありがとう。でもインタビュー的にすごいやりにくいことを言ってもいい?
あたしたぶん歌わないと思う。
そうやって(はなちゃんはどんなときでも歌っていくだろうって)すごい言われるのね。
そう言われるのはすごい嬉しいし、すごい良いことなんだけど、あたし日常的にってあんまり歌ってないんだよね。
曲は書くんだけど。

あたしの中の音楽を辞める辞めないって話はね、音楽が最初っから自分の表現…誰か、人に伝えて初めて成り立つものだったの。
これってけっこう根深いところなんだけど。
あたし音楽がなくても生きていけると思うの。
でもね、でも人に対してなにかを表現するとか、なにかを伝えるとか、人をハッピーにさせるとか、
それの最たるものが音楽なの、あたしは。
人のためになにかをするっていう生産性のあることをしていないと、生きてる意味がないって思っちゃうの。

これは誰しもに当てはまることでなくて、自分はそうなんだって思うことなんだけど…

g:あぁ…なるほど…それを聞いて今思ったのは、
音楽、歌だけでなくてそこから生まれる空間というか受け止めてくれる人との繋がりを求めてるのかなと。
そこに意味を持ってるんですかね。


つ:そう。すごい人と繋がりたいと思ってるんだよね、たぶん常に。喜ばせたいとか。
それこそ小さい頃ピアノを一生懸命やってたのも親が喜んでくれるとか。
あたし、根本的にはコミュニケーションが上手じゃないんだよね。なんていうかな…自分勝手だし(笑)
テンションのコントロールがへたくそだから得意じゃないんだけど。

例えば学校とかでピアノを弾くじゃん?
そうすると寄ってくるの、人が。
うまいし、いろんなの弾くから。みんなが好きなのとか流行ってるのとか。
それで自信の無さを音楽ですごいカバーしてたの。

g:それを聞いてなんかいろいろ納得した感じがします。
ライブがあんなに外向きなのとか、あれだけ人を巻き込めるのとか。
ライブを盛り上げようって見てる人を巻き込もうとする人ってたくさんいるじゃないですか、手をあげて〜とか。前に来て〜とか。
それってすごい押しつけになってしまう恐れがあると思うんですけど、
つるうちさんの場合なんていうんだろう…いやらしさがないっていうか。
ただほんとに繋がりたいっていうことの表れなんだなって。
無理がないというか、すごく自然なんですよね。無理してるのってわかるじゃないですか。


つ:わかる。嘘くせぇな〜って(笑)
だってあんなに嘘のつけないものってないのに。
その上で、あたしの音楽に対するサービス精神…人を喜ばせたい気持ちってさ、
嘘つく、つかないってこととけっこう紙一重なんだよね。
だって、エンターテイメントってそこに嘘があって成り立つでしょ?
で、そういう部分もあるっちゃあるんだよね。

たとえば、あたしがすごい落ち込んでて、暗くって、悩んでて、ウジウジして て、
そういうテンションでライブできないし、そういう日があってもさ(笑)
そんなライブできないじゃん?
したくないんだよ。
人に元気のないことをしたくないの!元気のない自分でいたくないの!人前で。できる限りね。
基本的にはどこにいっても元気だって言われるし。
それを繰り返してると、その日自分ではすごく元気がないんだけど、「すごい元気ですね」って言われるようになって。
あ、元気の最低レベルみたいなのが上がってるんだなって。アベレージが。
だから元気に生きてきてよかったなってすごい思うよね。

g:それすごいですよね。じゃあほんとに元気な時、どれだけ元気なんだっていう。

つ:ほんとに元気な時ね、ちょっと嫌われてるんじゃないかな(爆笑)
メンバーとかももう1年の付き合いだからさ、あたしのすごいアップダウンを見てるから。
元気すぎる時、ちょっとうっとうしがられてるもん(笑)
「新曲できたんで聴いてくれ〜」って夜中とかに電話して電話口でいきなり歌ったり。迷惑だよね(笑)

g:でもそれがあってあのステージとかつるうちさんの音楽があるわけですからね。


つ:そうそう。
自分の性格の迷惑なところで落ち込むこともあるんだけど。
でも、いい音源ができて、良い曲が1曲できれば全部が肯定されるっていうかさ、自分の人生が。
あーあれがなかったらこの曲ができなかったんだって。
だから良い曲書くことに命をかけるんだよね。
それがないと生きてるってことが楽しめないよね、あたしは。

g:曲良いですよ、ほんとに。

つ:曲良いよね(笑)今回のアルバムの曲はほんとに。
インディーズの完全なる自主(制作)だし、それの中でできるメジャーに対しての…なんていうか、こんなことできるよって、
自分たちだけでもこれだけのものが作れるよっていうのはできたと思うんだよね。

g:ではアルバムとその中身に触れていきましょうか。制作はどんな感じで進んだんでしょう?

つ:あたしバカ(前シングル)を作ってすぐ、1ヶ月くらいでもう作るって言い出してたんだよね。
なんでそうなったかっていうと、曲があふれて止まらなくて。
曲を人前に出して、音源にして出して前に進めるものってすごくあるじゃん?
今回の5曲って、その時点でのあたしの最高傑作5曲だったの。
その自分の中で今いちばんイイと思ってるものを出し惜しみせずにどんどん出すってことが、
さらなる次を生み出すんだよね。ぜったい。
みんなにもっと聴かせたいって思ってた曲が暴れだして。
“出して〜!”って。
いつ死ぬかわかんないし、出来る限りはやく出したいなって思って。
…“ID”だったんだよね、出したいってきっかけの曲は。

g:“ID”ってすごい…直接的じゃないのにメッセージ性というか、意味のある曲だなって思っていて。
それがいやらしくないって言うか、押しつけがましくないって言うか。


つ:そう聴こえてるんなら嬉しいなぁ。
説教くさいからね、パンクって。一歩間違うと。

g:説教くさい考え方とか、無責任な前向きさとか、そういうのとは違う…
あたしはここで、こういうふうにして、ここにいますよっていうような。意思表示な気がしてるんですよね。


つ:“ID”はさ、間(あいだ)と引っ掛けてるんだけど、“きみとあたしのあいだ♪”って。
きみとあたしの間の愛なんだけどさ。
それすらも自分だよっていう、自己証明に戻ってるんだよね。
人と繋がりたいとか、愛し合うことってすごく素敵なんだけど、それすらも結局自分が生きるためのものなんだよね。
絶対に人の人生とか人の気持ちとかって自分のものにはならないし。
自分自身のものだから。

愛し合うことの美しさの影に自立って必要なんだよね。
自立していないと本当の意味で人って愛せないんだよね。
自分でちゃんと立ってないと、それはただの依存になっちゃうというか。
っていう意味で、自分の決意として“ID”ってつけました。

g:なるほど。なんだかすごく納得しました、“ID”を聴いてて感じてたこととか。
でもすごいシンプルなんですよね。


つ:うん。すごいかんたん。

g:人と繋がるっていう部分ですよね。では表題曲になってる“DAYGIRL”について。

つ:“DAYGIRL”は完全なノンフィクションですね、これは。
すごく大切な友達から電話がかかってきて「はなちゃん、わたし失恋したの!」って。
そりゃ大変だって。
「今どこにいるの?」って。歌詞そのまんまで、会いに行って、そのまま家にお泊りして。
明日の朝カレー食いに行こうよって言って。
カレーでも食えば元気になるよ。っていう、そのまんまが歌になってる。

ノンフィクションなんだけど、自分にとっても…そりゃ失恋のひとつやふたつ誰にでもあってさ。
でも男にふられたくらいで女を落としちゃあもったいないですよ。
それすらも食べ物のように、食って飲んで糧にして、一生キラッキラして生きていけるじゃん、女の子はさぁって。
そんな曲です。日々を生きろと。
明日の心配をするなと。
昨日の思い出にとらわれずに。
ただ今という時を生きる…生きろ!と(笑)

g:なるほど、で、その次に来る曲がほんとに弾けてる“PARTY”と。そうとう弾けてますよね。

つ:そうとうだよね。あったま悪い感じがするよね(笑)
あの曲しかなかったらほんとに頭の悪い人みたい…実際悪いんだけど(笑)パッパラパーな感じがするよね。

g:でもこれ聴いてるほうもパッパラパーになれますよ(笑)
よけいなこと考えなくていいっていうか、考える余地ないですもんね。
最初聴いた時に電車の中だったんですけど、笑いましたもんね。ライブでもすごそうだなーて。


つ:ははは!でもこれはライブで盛り上がる為に作った楽曲。
なんかみんなで「オイ!オイ!」って歌える曲が欲しくて。「トゥナーイ」って大合唱してさ(笑)
チャゴチャ考えずに楽しめばいいんじゃないのって思うよね、この曲は。
あとは“どんなに死にたい夜だって グーグー寝ればなんとかなるわ”っていうそれだけ。

g:あの歌詞すごいですよね。
僕もそこがいちばん響いて。聴いてて。


つ:ほんとにそのまんま。なんにもオブラートかけてないからね。
それこそこの曲なんてなんも考えることないじゃん?
それでいいんだよね。
なんかさ、乗り越えられない夜ってあるじゃん?
この一晩が長いっていうかさ、キツイっていうか。
そういう時の誘発剤みたいな音楽であればいいなあって。
乗り越えられないなーってところに、尻に火ぃつけてワーってなってビャーってなって、あ、朝だ。みたいな(笑)
そんなもん。みんな大変じゃん。
みーんななんかしら抱えてて、酒とかいろんな誘発剤があって。
その中のひとつの選択肢として、あたしが生きてる限りは誰かの誘発剤になることをやっていたいなぁと思ってるの。

g:それはすごい伝わってますし、できてる部分もあると思いますよ。
ライブ見て発散したり、家でCD聴いてパワーにしてる人は絶対にいると思いますもん。


つ:なんかさ…ファンレターとかほんとに嬉しいよね。
ちょっと信じられないんだよね、ビックリしちゃうというか。
「ほんとに!?」って。
でもほんとなんだよね。最近やっと信じてきた。
福岡とか愛媛から来てくれる子がいるの、わざわざ。
会社休んだり、飛行機代だってたっかいのにさ、そのライブを見るために来てくれるってすごいことじゃん。
なんか売れても売れなくても、あたしのやることは変わらないなってすごく思える、最近。
相手にする数が違うだけで。ほんとに1対1で向き合ってるつもりなんだよね、お客さんと。

g:そのうえでいかにたくさん巻き込んでいくかってところなんでしょうね。


つ:うん。おおきくなっていくでしょう!(笑)
でも音楽って、音楽業界って…体力と精神力だと思うもん。
根本的なエネルギーがすごく問われる仕事だって。
プロフェッショナルで続けてる人って、それだけで相当ポテンシャル高いと思うんだよね。
体力と精神力は絶対あるよね、それと図太さ。

g:それはありますよね。
つるうちさんみたいな表現は特にそうだと思いますけど、自分自身を切り売りしてるわけじゃないですか。
仕事っていろんな職業がありますけど、その個人の考えてることとか思想ってそんなに問われることないじゃないですか。
アイデンティティが問われることって。
でも音楽の、なおかつ表現する側にいる人ってまさに自分自身を使っていくしかないし。
やっぱりすごいエネルギーを使うと思うんですよね、どうしたって。


つ:そうだと思う。
間違っても音楽家が偉いなんて思わないし、曲を書けることがすごいなんて全然思わないし。
あたしは正直、世の中を毎日回している大多数の人に対する申し訳なさみたいなのもあって。
サラリーマンと言われている人とか。バイトでもフリーターでも。
だってあたりまえにお店でなんか食べれたりするのは働いてるアルバイトがいるからだしさ。
すべてのことって絶対人が関わってるじゃん。
ふだんあたしたちが生活していて、気にも留めないような部分を、仕事として何十年もやってる人もいると思うし。
それってすごい精神力だと思うの。

あたしはすごい飽き性で続けることができないから、音楽以外。
バイトも30個以上やってきて、やめてきて(笑)
愛想いいから面接は受かるんだけどさ、すぐ人間関係きつくなってやめちゃうんだけど(笑)
ほんとに典型的なダメミュージシャンですよ。
そんな自分のいいところはすごく本質的なところだけを見てるということ。
奥の奥の奥のところまで絶対に逃げないで向き合って曲にするっていうのが唯一いいところで。
あとは死ぬほど元気(笑)

g:だからこそこういう曲が出てくるっていう。


つ:そうだよね。だからそういう生き方しかできないんであればハッピーにやりたい。
それって大事じゃない?
こういう生き方しかできないっていうのを物々しく歌う人もいるじゃん?
そういうのが苦手なんだよね、想い詰めた音楽が。
どっちにしたって生きることにかわりはないんだから。楽しい方が幸せじゃん。
そのほうが周りもハッピーだし。って思うんだよね。たぶん。
まあ暗い音楽が必要な人もいるからね。生き方の好みの問題だね。

g:それはその人によって、その時によって違いますからね。
さて、全曲解説に戻りますが…続いては“コンダクター”。


つ:これはでもSMソングだからね(笑)
これはヨコオ君のインタビューだから言うけど、SMだよね。
(一同爆笑)

つ:誰しもさ、SとかM的な発想というか、要素ってあるじゃん、多かれ少なかれ。
支配関係って人間関係の中で絶対あるんだけど。
それのされてる瞬間の気持ちよさ…されてる側が実は支配していることもあって。
そういう混沌とした支配関係の中での一時の心地良さみたいなのを切り取っている…
まあ前向きな歌ではもちろんないんだけども、人生の中でこういう甘美な時間っていうのは必要だよね。

g:すごい深くてしっとりしてるんだけど暗くはないんですよね。
言ってることも、この曲に関しては元気で前向きじゃないんだけど、すごくプラスなエネルギーがあるなって思うんですよね。
幸福感というか。


つ:あぁ〜!嬉しいなぁ!
こういう歌で、どん底じゃないけど、こういう歌であたしがやる意味っていうのは、
それすらも楽しいじゃんっていうところだから…それが伝わってるっていうのはすごい嬉しい!
ありがとうございます!やったー!!

g:よかったです(笑) “コンダクター”ってこのアルバムの核になってると思うんですよね、逆に。
この曲があるから他の曲の説得力が増してるし。バランスが取れてるなって。


つ:いちばん甘えん坊な曲だからね、これが。
支配されてることって気持ちいいじゃん?
楽なんだよね、実際。安心だし。自分で考えなくていいっていう状態だから。
で、あたしは基本的にはそういうの大っ嫌いだからさ。
すごい自立心と言うか、自分で生きろ!ってことを全曲言ってるんだけど、
この曲だけが、そりゃあたしも甘えたいっすよ、たまには。っていう(笑)

g:その流れで“ID”があって。これで終わると思いきや“グーチョキグー”があるっていう。
これを最後にしたっていうのは?


つ:単純な音楽的な流れでこの曲がよくて。どっちにも寄ってない曲で終わりたかったのね。
すごくニュートラルな状態で終わりたくて。
これがいちばんそうだと思うの。テンション的にも、テンポも。
歌詞もすごい曖昧なところを突いてて。答えが出ないところをアッパラパーにに歌うっていう。
グーとチョキだけでパーは出さない、手の内は見せないって。

g:それを聞いてすごい納得しました。
今回の5曲の中で最後にこれる曲っていっぱいあるなと思ってて。
ワーって勢いのある曲で終わることも音源的にはすごい良いと思うんですよね。
なのになんでこの曲が最後なんだろう?って思ったからこの質問をしたんですけど。腑に落ちました。
ニュートラルな広がりのまま余韻が残るっていうか。


つ:もういっかい“DAYGIRL”に戻りたくならない?腹八分目の終わりというか。

g:すごいその次が、続きが気になる終わり方なんですよね。
それぞれの曲がすごいパワーを持ってるし、メッセージ性が強いし。
それでワーって終わると気持ちいいんですけど、そこで終わりというか。投げっぱなしになってしまうというか。
それが“グーチョキグー”で終わることで、あたしはこうですけどあなたはどうですか?って、
聴いてる人にとっての明日とか、その次に繋がる感じはしたんですよね。


つ:あぁ、でもまさにそう。
そして何度も聴いてねっていう。何回も何回も聴いてねって。
で、この曲って40、50になっても歌えるポップスだと思ってるんだよね、テンション的に。
勢いとか体力とかでなくて、すごく恋愛の本質…
“パーを出さない〜♪”って手の内をお互いが見せないっていう関係が…そうだと思うんだよね。リアルな人間関係っていうのは。
全部出しちゃったら興味なくなっちゃうじゃん、もう。
だから、ここまでの曲で正直、正直で押してるんだけど、最後の最後ではぐらかして終わるっていうのが…おしゃれじゃん?(笑)
あっはっは(笑)
シティ感があるよね〜シティガール!シティガール!

g:シティ感って(笑)
でも作りこまれてるのか、たまたまそうなってるのか、すごく気持ちいい1枚だなって。

つ:すごい嬉しい。ここまでなんだかんだ言ってきたけど、ポップスは気持ちよく聴けてナンボじゃん?
あたし、パンク!って言ってるし、それはすごく精神的なことなんだけど、
物理的にはちゃんと聴けるポップスを作っていきたくて。
良いメロディ、良い歌詞、みんなで歌えるものっていうのがやりたい。
ずーっとやりたい。
それだけなんだよね。



 

つるうちはな artist file


つるうちはな / DAY GIRL
DDCZ-1502
1000yen (tax in)
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